女子更衣室で体操着に着替えてから裸足でプールサイドへと降り立った。半袖半ズボン。まだ少し肌寒い気もするけれど、今日は晴天だから丁度いい。
他のクラスからも選出された男女各1名ずつがだるそうに集まっている。プール掃除なんて誰も進んでやるりたがらないよね。ほとんどのクラスがジャンケンかくじ引きで決めたと思う。水泳部は夏以外近くの市民プールを借りて練習しているし。
「ナツノ、こっち」
「うわっ」
担当の先生が何やら説明していたみたいだけれど、集団の後ろでぼうっとしていたせいで聞き漏らしてしまった。おかげで後ろから近づいてきたスミくんにも気がつかなくて、変な驚き方をしてしまったし。
「なにその驚き方、ぼーっとしすぎ」
「勝手じゃん、放っておいて」
「バカ、クラスごとで掃除する区域が分かれてんの、必然的に協力しないと終わらないから」
「……最悪」
「ホース係かモップ係がどっちがいー?」
キッと睨みつけて「ホース」とひとこと。スミくんはハイハイ、とモップを手に持った。
こんなに嫌悪感を全面に表しているのに、どうしてこの人は屈せず話しかけてくるんだろう。おかしい。意味がわからない。