かくして、私とスミくんの関係は終わったはずだったのだけれど、予想外にも彼との関わりは割とすぐにやってきたのだった。



「すっげー嫌そうな顔してるね、ナツノ」

「……」



5月初旬、くじ引きで決めたプール掃除当番が、まさかのスミくんとペアになってしまった。

6月上旬に行われるプール開きに向けて、5月初めから1週間に一度掃除という名のメンテナンスが行われる。各クラスから男女1名ずつ選出されると聞けばラブのひとつも起こりそうなものだけれど、プール掃除なんて過重労働もいいところだ。勿論自ら手を挙げる人がいるわけもなく、くじ引きになったというのに。



「有り得ない、誰かに代わってもらおうかな」

「ひど、俺のことめちゃくちゃ避けてるじゃん」



決まってしまったものは仕方ない。渋々横に並んでプールへと移動する。別に一緒に行かなくてもいいのに、こいつがついてくるから仕方ない。


避けているというか、苦手というか、理解できないものは想像以上にこわいものなのだ。



「このプール掃除あと4回もあるの…」

「1週間に1回を1ヶ月だからね」

「わかってるよそんなことー」

「ていうか、ナツノって水泳部じゃなかった? プール掃除とか得意じゃないの」

「プール掃除に得意も不得意もあるか! てか私が水泳部だったってなんで知ってるの」



2年の夏に辞めたし、水泳部なんて殆ど誰も気にしてないない幽霊部のようなものなのに。



「ナツノは有名だからなー」

「……いろんな意味で?」

「自虐?」

「煩い」



嫌われている自覚があるだけマシだ。スミくんみたいな、誰にでも分け隔てなく愛想を振りまける、いつでも中心にいるような人間にはわからない。