彼氏との待ち合わせ場所に軽い足取りで向かう蓮と別れ、バイトへ向かう私…。
この差って何?
バスを待ちながら思わずため息をつく。
「ため息をつくと幸せが逃げますよ」
…?誰?
声がした方を振り返ると…
「…誰ですか?」
「…あ、私をご存知ない?」
「ごぞんじないです。」
渋くてかっこいいおじさんだなあ…紳士って言うの?枯れ専の子ってこういうのを好きになるのね…
って言うのが第一印象なんだけど…
偉い人なのかな?自分を知らないことにびっくりしてる…。嫌味ね。
「じゃ、いいです笑」
「あ、そうですか。て、いうか、言わせていただきますけど。」
紳士は少し首を傾げた。様になっててなんだか腹が立ってきた…。
「ため息ごときで逃げるような幸せは幸せとは言いませんからっ!」
ふんっと顔を背け、会話を終わらせたつもりで前を向くと
後ろからくっくっくっと笑い声が聞こえた。
「…何よ」
「いや、なかなかはっきりものを言うお嬢さんだと思ってな笑学部はどこだね?」
げ。この人教授なのかな…
笑ったら結構かっこいい…とか思ってしまう私って相当飢えてる?
「人間社会学部ですけど…」
「じゃあ、いずれ近いうちに会うでしょう。明日、とかね。ああ、バスが来た、乗らないんですか?」
「ど、どうも」

な、何このおじさん、なんか余裕があってますます悔しい…