「お兄ちゃん、ただいま。」

私はこいつを兄とは思わない、いくら血が繋がっていようと、私の家庭を狂わせたのだから。

くそ兄貴、それが言えたらどんなにいいのだろうか。

「私、部屋に戻ってるから。ご飯できたらおしえてね。」

足早に部屋に向かい、扉を閉め、1人の空間をつくる。

制服を脱ぎ、すぐに香水をかける。

くさい、くさい、くさい!

いくらかき消そうとしても鼻腔の奥にはまだぬるりとした血の匂いが残っていた。