政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


「でも、家族が心配するだろ」

「わかってる。逃げられないってことも、全部わかってるの。わかってるから――」

 もうすこしだけ、白鳥の名前を忘れていたい。

 しばらく無言の時間が続いたと思ったら、はあと大きなため息が聞こえた。

「……今からなら、ぎりぎり間に合うかな。よし、行くか」

「え?」

「デートだよ、お姫様。自由を見たいんだろ?」

 私に手を差し出して、彼は端正な顔をふっと崩す。その目は深い黒色で、とても澄んでいた。人を惹きつけて放さないような、引力のある瞳だ。