彼はニット帽の外国人男性と英語でやりとりを交わすと、最後に「Haha!」と外国のリズムで笑った。自分よりも大きな男性が逃げるように走っていくのを見送って、振り返る。
「大丈夫?」
聞き慣れた言語に、こわばっていた体が一気に緩んだ。
突然のことに頭が回らなくて、ただ正面に立つその人を見つめた。
目鼻立ちが整っている彼はどうやら日本人のようで、外国人男性が走っていった方を振り返って小さく笑う。
「小学生が迷子になってると思った、だってさ」
「しょ、小学生⁉」
「日本人はただでさえ童顔に見えるからなぁ」
そう言ってくしゃっと笑う顔は幼かった。私とそんなに変わらない年齢に見える。そう思った瞬間、喉の奥に詰まっていた緊張のかたまりがほろりと溶け落ちた。

