ベンチから引っ張り起こされても、声が出なかった。麻痺していた体に急に力が入って、全身がこわばる。 なに? こわい。 誰か。 ネイティブアメリカンの聞き取れない言葉が、私には銃声のように思えて足が震えた。 誰か、助けて。 そのまま引きずられそうになったとき、ふいに背後から若い男の人の声が聞こえた。 「Hey, what are you doing!」 リュックを背負ったモッズコートの背中が、私を掴んだ男の手を遮るように正面に立つ。ちらりと目に入った横顔は、黒い髪色のアジア系だ。