閉ざされた二十五年間の中で、私にも恋をしたいと思った相手がひとりだけいた。
自宅の一階から二階までをつなぐ階段は、リビングの壁に沿って優美な曲線を描いている。デザイン性の高いロートアイアンの手すりは植物のモチーフになっていて、母と私と妹、白鳥家女子三人組のお気に入りだ。
後ろから従者のようについてきていたスタンダードプードルのアレクとともに三階の自室に入り、猫脚の丸テーブルにカバンと荷物を置いて、いつものように三段チェストの前に立つ。
左手首を飾るパールのブレスレットをはずして、ベルベッドのジュエリーボックスに置いた。

