政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 それが伯父の差し金だったことを、当時の私は知らなかった。仲の良かった子が突然姿を消してしまったことに、ただただ胸を痛めていた。

 そんなふうに、伯父は知らないあいだに、私の周囲にたくさんちりばめられていた様々な可能性を、ひとつずつ摘み取っていたのに。

「なるほどね」

 私をまっすぐ見据えていた彼は、少しも表情を変えなかった。

 笑ってもいないし、怒ってもいないし、憐れんでいる様子もない。眉も目も唇も、顔の中にただそのままあるだけで、どんな感情を抱いているのか量るためのきっかけすら与えない。

 仔羊のローストにナイフを入れながら、彼はつぶやく。

「真珠は、外の世界を知らないってことか」