「WLBプロジェクトの進行状況について窺いたいそうです」

「わかりました。今から伺います」

 社長室で突然プロジェクトリーダーに任命されてから約一週間、私は戸上さんから渡されたWLBの資料を元に自分なりに計画を練っていた。

 はじめて自分で作成した企画書を印刷し、ざっと全体を見直してから席を立つ。

「上の階に行ってきます」

 周囲に軽く声掛けをしてエレベータに乗り込み、二十二階のボタンを押した。

 ファイルを胸に抱きながら、心臓は不安定な音を刻んでいる。

 また、あの目と対峙しなければならない。

 まっすぐに人の心を見透かすような鷹野社長の瞳を思い出して、ぎゅっと目をつむる。