自らの利益のために、他人をコマのように扱い、運命まで狂わせる。

 私の人生も、生まれた時から伯父の手に握られている。

 二十五歳の誕生日に、それまでの過去をすべて清算し、婚約者との結婚を見据えて準備をはじめる。それが、伯父から言い渡されている私の運命だ。

 といっても、清算しなければならないような過去なんて、ひとつもない。

 クッションを抱きしめながら、ふと三段チェストに視線を戻した。

 ジュエリーボックスに大切にしまわれた、眠れる真珠たち。

 あれを手放せと言われたら、私は素直に従えるだろうか。

 胸に秘めているだけのこの気持ちも、清算しなければならないのだろうか。