十歳の時に自分に許嫁がいるのだと知らされるずっと前から、私は伯父の監視のもとで育ってきた。

 幼稚園から小学校、中高一貫の女子校に、エレベーター式で進んだ女子大も、伯父に決められた通りの道筋だった。

 祖父の白鳥栄一には三人の子どもがいるけれど、その長子である伯父は早くに奥さんを亡くしていて子どもがいない。末娘である久美子叔母さまはアパレル系の会社を経営する実業家で独身。当然のごとく伯父とは折り合いが悪い。

 つまり、白鳥栄一の血を引く子どもは、次男である父、真治の娘の、私と妹だけだった。