両親と私たち姉妹が住むには広すぎるこの家には、私たち家族のほかに多くの人が出入りする。運転手の黒田さんをはじめ、家事全般を請け負ってくれている以津子(いつこ)さんとその息子の波瑠、父の秘書に、母の事務所の人間、それから白鳥本家の人たちに……、とにかく、たくさんだ。
今日のお客様は、あまり歓迎できない。
光沢を放つ御影石の床にそろえて置かれたふたり分の革靴を一瞥して、スリッパに履き替えた。
自室のある三階に向かうには、リビングにある階段を上らなければならない。
すっと深呼吸をして、私はドアを開けた。その瞬間、私を待ち構えていたように、真っ白なスタンダード・プードルのアレクが飛びついてくる。

