細い腕を引っ張って人目を避けるように中庭に出てから、華奢な肩を掴み直した。
「おい、外でそういう顔をするな」
彼の必死な目を見て、真珠はびくりと体を震わせる。
「ごめん……なさい」
長いまつ毛の先に涙のかけらをのせたまま、彼女は目を伏せた。
「なんだか……びっくりするくらい、幸せで……」
そう言って涙をこらえようとする彼女を見おろしながら、迅はたまらなくなる。
白鳥真珠はこれまでの二十五年間、ずっと人付き合いを避け、様々な感情を押し殺して生きてきた。
そんな彼女に、映画みたいな恋愛を経験させてやりたい、心を揺さぶるような激情を知ってもらいたい、という思いで婚約者の身代わりを立てたけれど、やりすぎだったかもしれない。
「ごめんな……真珠」
唇を結んで懸命に涙をこぼさないようにしている彼女を、迅は優しく抱き寄せた。
「大丈夫。俺はずっと君のそばにいる」

