いつだか社長室で、調子に乗った尋から無防備にもキスをされていた姿を思い出し、迅はため息をつく。
手を伸ばして助手席のドアを開けてやると、彼女はおそるおそるという様子でツーシーターのオープンカーに乗りこんでくる。
「あ、あったかい」
驚いた顔でシートを振り返っている彼女に、彼は苦笑した。
「シートヒーターが組み込まれてるからな。暖房の利きもいいし、意外と寒くないだろ」
「本当。こういう車は夏に乗るものだと思ってた……」
「夏にルーフを開けて走ったら即熱中症だよ。意外と冬の方が快適なんだ」
「そうなのね」と物珍しそうに目を動かしている真珠に、用意していたブランケットを差し出す。

