政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 一見すべてをあきらめているような顔に、迅はくぎ付けになった。

 憂いを含んだような顔つきなのに、目の力だけがおそろしく強い。

 若干十歳にもかかわらず、少女の瞳の奥には圧倒されるほどの光が宿っていた。

 そして迅は、彼女の背中に翼が見えたような気がした。

 生まれたての濡れた羽毛を広げ、懸命に飛ぼうとしている様がはっきりと見てとれた。

 ――この少女は、あらがっている。

 狭い箱庭から、飛び出そうともがいている。

 そう思った瞬間、これまで経験したことのない胸の痛みに襲われた。

 ぎゅっと心臓を引き絞られたような鈍痛に成すすべもなく、わけがわからないまま、迅はただその場に立ち尽くした。