「もっと前だよ。言っただろ。初めて君と会った瞬間から、忘れられないって」
「初めてって……」
マンハッタンにあるセントラル・パークで、私を助けてくれたモッズコートの大学生。そのときの印象が強くて、私はすっかり忘れていた。
頭の中をひっくり返す勢いで記憶をたどる。許嫁として、初めて『飛鳥井迅』と顔を合わせたのは――。
『真珠。お前の許嫁だよ』
耳の奥に響いたのは、伯父の声だった。
白鳥本家の庭で、妹と人形遊びをしていた、十歳のとき――。
「最初に君を見たとき、俺は衝撃に打たれた。十歳の女の子っていうよりも、君は聖書か何かから飛び出してきた、清浄で穢れのない天使みたいだった」

