迅は大きな手で私の髪をさらりとなでる。
「君はいつまでも、俺のお姫様だよ」
懐かしい言い回しに、胸がくすぐられた。古い映画と同じ、淡い記憶として消えるだろうと思っていた小さな恋の物語は、今なお続いている。
改めて考えると、信じられないことだった。夢の続きが、まさか現実になるなんて。
「十年前のニューヨークで、あなたも、私のことを好きになってくれたのね……」
想うことと、想われることがぴたりと合わさるなんて、どれだけ幸福なことだろう。
そんなことを考えていると、となりを歩いていた迅がふと足を止めた。
「……違うな」
「え……?」
立ち止まる私を真正面から見下ろし、彼は少しだけいたずらっぽく笑う。

