「俺もだよ」
そう囁いて、彼は唇に優しいキスをくれる。
「ずっと……本当にずっと前から、俺はお前に夢中なんだ」
会社では端正な顔を崩さずいつも鋭い目つきで仕事をしているのに、ふたりでいるときの彼は、たまに驚くくらい幼い表情になる。
十年前に出会った大学生のときと同じ、無垢な顔で笑った彼に、今度はきゅうっと胸が鳴った。
彼と、ずっと一緒にいたい。
そして、それは叶えることのできる願いなのだということが、信じられないくらい幸福だった。
ふと、頭によみがえる。
『どうしても逃げられない運命なら、その中でめいっぱい楽しむしかない』
迅は、私に本当にたくさんのことを教えてくれる。
そんな彼を、私も幸せにしてあげたいと、強く思った。
その強い気持ちは、もはや恋ではなくて――。

