ふと、彼の体が離れる。後ろから私の顔を覗き込むように身を乗り出して、迅は少しだけ不安げにつぶやいた。
「……嫌いになった、か?」
「……」
私はむうっと唇を尖らせた。
胸の中に感じたことのない気持ちが渦巻いてる。
うれしいような、悲しいような、ちょっと悔しいような。一言では言い表せない複雑な思いに、自分で戸惑う。
何色もの絵の具を混ぜ合わせたようなこの気持ちも、恋よりも深いところにある愛によって、引き起こされる感情なのだろうか。
「……好きよ、バカ!」
素直に口にするのは癪だったから、せめてもの抵抗に普段は使わない言葉を付け加えた。
すると、前からすくい上げるように唇が合わさる。

