すべては『本当の愛』を知ってもらうため。
そう、鷹野迅――もとい、飛鳥井迅は言った。
奥座敷のとなりにあるらしい小さな和室は、敷地のずいぶん奥にあるのか、とても静かだ。どこかの部屋で祝宴をしているという家族たちの声も聞こえてこない。
私のとなりに座りこんだ袴姿の彼は、部屋の雰囲気とあいまって、粛然として見えた。障子から入り込む自然の光が、美しい五紋付きの黒羽織にすべて吸い込まれていくみたいだ。
「真珠が宗一さんを快く思っていないことは、宗一さん自身から聞いて、よく知っていた」
「……伯父さま、から?」
厳かな表情のまま静かに言われて、ぎくりと体がこわばった。
伯父が……気づいていた?

