政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 それでもこのまま彼に会わないでいれば、きっとこの気持ちは風化していく。美しい初恋の思い出に変わり、心の片隅で永遠に眠り続ける。

 祖母の部屋の書棚で眠る、古い映画のテープみたいに。

 どたどたと、廊下を歩いてくる複数の足音がした。

「待たせてすまない。主役がようやく到着したよ」

 そう言って苦笑しながら現れたのは、紋付き袴姿の伯父だった。続いて、ブラックスーツに身を包んだ飛鳥井さんが姿を現す。目が合うと、彼はいつものようににこりと微笑んでくれた。

 そして、最後に現れた人物に私の心臓は止まりかける。

「皆さま、お待たせして申し訳ありません」

 そう言って両家の面々に礼儀正しく頭を下げたのは、五つ紋が染め抜かれた羽二重の羽織に袴姿の、背の高い男性だった。