私のとなりに座っている妹は、赤色が冴えわたる振袖姿で場を華やかにしてくれていた。
「白鳥さん、申し訳ない。愚息が少々遅れるようで……」
上座に座していた見るからに威厳たっぷりの男性が困ったように眉を下げる。見ると、男性側は彼とその奥様らしき女性が座っているだけで、その隣にいるべき人物が見当たらない。
「きっと道路が混んでいるのでしょう」と私の父が穏やかに返事をして、張りつめていた場がわずかに和んだ。
とても静かな気持ちだった。
座敷の静謐な気配と同化するように、私の心も凪いでいる。
堂々とした佇まいの飛鳥商事CEOと、そのとなりで凛と背筋を伸ばしている美しい女性。飛鳥井さんのご両親は一見とても厳格そうな雰囲気をもっているけれど、私と目が合うと優しく微笑んでくれる。

