優秀な社長秘書は、呆れたようなため息をつく。常に変わらない氷のような顔に、わずかに感情が表れる。
「社長は、あなたならできると信じていた。そしてあなたは、短い期間の中でそれを成し遂げました」
熱いものがこみ上げそうになって、ぎゅっと唇を結んだ。
一度口を開いてしまった箱に、さらなる想いをしまいこみ、今度こそふたが開かないようにと重りをつけて胸の奥底に沈めたはずだった。
それなのに、あっというまに。
本当にあっというまに、箱は浮上してふたたび口を開く。
『最初からあきらめていたら、なにも生まれない』
記憶の片隅に刻まれた言葉が、彼の声で再生される。

