常に冷静沈着で物事を引いた目で見ているところのある優秀な社長秘書。彼はいつだって、真実しか語らない。
メガネのレンズに守られた切れ長の目が、声を失っている私をちらりと見る。
「……社長は、最初から、あなたにすべてを任せるつもりでした」
「え……」
目が合うと、彼はすいと視線を逸らした。なにかを思い出しているように小さくつぶやく。
「あなたに推進室のリーダーは荷が重いだろうと、役員たちは反対していたんです。しかし、社長はそれらを突っぱねた」
――彼女には根性があるから、絶対に大丈夫だ。
鷹野社長が上層部の人間たちに言い放ったという言葉を、戸上さんは静かに繰り返した。
「およそ理屈ではありません」

