抑揚の少ない言葉に、私は薄暗いフロアへと目を戻した。空きデスクが整然と並んだそこは、私がいたときよりもずっと広いように感じられる。
「仕事のみならず、それぞれの体調や家族の事情を共有して、チーム内でフォローする体制ができあがってます。まだ始まったばかりですが、ざっと十パーセントは残業時間を削減できそうですね」
がらんとしたフロアを見渡して、戸上さんは淡々と言った。
「あなたが取り組んだ、WLB推進の成果です」
体の内側でぶわりと血が沸き立ったような、手足が痺れるような感覚に、一瞬、呼吸を忘れた。
「私の……成果?」
「もちろん、育児・介護支援などまだまだやらなければならないことはありますが、長時間労働への対策としては、大きな一歩です」

