母は外で気を引き締めて仕事をしている反動なのか、家にいるときは驚くほど抜けている。外と家とでスイッチの切り替えでもしているみたいに、玄関から内側に入った途端、思考も言動も緩くなるのだ。

 苦笑して、私はテーブルに目を戻した。

 たくさん並んだお土産品は、クッキーやチョコレート、コーヒーといった具合に、毎年代り映えがしない。でもそれが、私たち四人家族の毎年のお正月の過ごし方だった。

 そんな当たり前の旅行も、これが最後だったのだなと思うと、永遠に続くものなんてないのだと突き付けられたように、ひどく寂しいような、切ない気持ちになった。