「気をつけろよ、白鳥のご令嬢。飛鳥井の家はクセ者ぞろいだ」
「え」
「やだな、二條家ほどじゃないよ」
からからと笑う飛鳥井さんに、「けっ」と子どもっぽい捨てゼリフを吐いて、二條家の御曹司は女性を伴いレセプションに向かっていった。
「気にしないでね、真珠ちゃん」
「は……はい」
高層階から一気に下降するエレベーターの中で、私はだんだんと自分がどういう世界に足を踏み入れることになるのかを実感していった。
それは、伯父が夢見ていたに違いない、本物だけの世界だ。
成り上がってお金を得てきた人間にはどうしたって手に入れることのできない、名門の血と品格と人脈。私が飛鳥井家に入ることで、伯父はそれすらも手に入れたいと思っている。

