聞き覚えのある名前を口の中で繰り返していると、飛鳥井さんはにこりと微笑んだ。
「二條家の御曹司だよ」
ぎょっとした。
二條家といえば、飛鳥井さんと同じ旧財閥の流れを組む名門資産家の一族だ。雲の上のような存在がもう一人現れて、私は慌てて頭を下げる。
「は、はじめまして。白鳥真珠と申します」
「白鳥? ああ……ホワイトグループの」
頬が熱くなった。
『本物』の人たちを前にして、格の違いを見せつけられたような気がする。由緒正しい家柄の彼らに比べたら、小さな商店から成り上がった白鳥家なんてプラスチックのパールのような存在かもしれない。
気後れしている私の顔をじっと覗き込んで、二條の御曹司は眉をひそめたままつぶやいた。

