店を出ると、そこは間接照明が照らすだけの薄暗いフロアになっていた。
会員しか足を踏み入れることのできないこのフロアには、それぞれ最高峰の日本食やフレンチ、中華レストランが入居しているのみならず、サロンやプライベートルームまであるという。
至る所にソファが配置されたそこは、廊下自体がすでにモダンアートミュージアムの様相を呈していた。
レセプションの前を通り過ぎ、ホールでエレベーターを待っていると、音を立てて開いた扉の向こうから、ふたり連れが降りてきた。
飛鳥井さんに負けず劣らずの長身な男性が、私たちに気づいて凛々しい眉を思い切りひそめる。
「……ジン。なんでおまえがここに」

