相槌を打ちながら彼の話に耳を傾けようと努力しても、形のいい口からこぼれる言葉は右耳から左耳へとすり抜けていく。気を抜くと三日前の夜に意識が引っ張られそうで、私は真正面の人物を懸命に見つめた。
食事をしながら、おしゃべりをしながら、飛鳥井さんは顔全体で屈託なく笑う。この場を心底楽しんでいる様子に、私の胸は少しずつ沈んでいった。
私は、この人を裏切ったことになるのかな。
二十五歳になるまでと決められていた自由な恋愛を、二か月遅れで成し得てしまった私は、伯父との約束を破ったことになるのだろうか。
白い陶器に目を落としながら、小さく唇を噛む。
きっと、大した問題じゃない。

