「もしもし?」 ボリュームを押さえて出ると、電話の向こうで少しだけ慌てた声がする。 「真珠。今どこ?」 「どこって……」 波瑠はいつも淡々と話すけれど、今はずいぶん早口だ。 「もうすぐ一時だ。さすがにこれ以上はごまかしきれない」 「あ……ごめん」 波瑠には鷹野社長と食事に行くから迎えはいらないと伝えてあった。 それを、彼なりに機転を利かせて両親や黒田さんにうまい具合に説明しておいてくれたらしい。 きっと会社の忘年会に行っているとでも話してくれたのだろう。