「わ……私は」 「真珠」 腕を引き寄せられたと思ったら、広い胸に閉じ込められていた。頭が真っ白になる。 「なに、するんですか!」 もがこうとする私をぎゅっと抱きしめて、社長は囁いた。 「安心しろ、俺は敵じゃない」 耳にかかる吐息に背中がしびれた。わけがわからず、この腕からどうにか逃げ出したいと思うのに、胸の高鳴りはやまない。 「俺はお前の味方だ」 「放して!」 どうにか腕を振りほどき、私は彼から離れた。肩で息をしている私と対照的に、社長はどこかさみしげな目で私を見ている。