政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


「わ……私は」

「真珠」

 腕を引き寄せられたと思ったら、広い胸に閉じ込められていた。頭が真っ白になる。

「なに、するんですか!」

 もがこうとする私をぎゅっと抱きしめて、社長は囁いた。

「安心しろ、俺は敵じゃない」

 耳にかかる吐息に背中がしびれた。わけがわからず、この腕からどうにか逃げ出したいと思うのに、胸の高鳴りはやまない。

「俺はお前の味方だ」

「放して!」

 どうにか腕を振りほどき、私は彼から離れた。肩で息をしている私と対照的に、社長はどこかさみしげな目で私を見ている。