政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 優しく注がれる瞳から、目を逸らすことができなかった。

 ああ、ダメ。

 そう思うのに、気持ちは抑えられない。

 自由の女神像や、八十六階からの夜景や、切ない恋を描いた古い映画。

 たくさんの思い出を閉じ込めて胸の底に沈めていた箱が、ゆっくりふたを開いていく。がっちりと閉じていたアコヤ貝が、少しずつ口を開くみたいに――

「会いたかった、真珠」

 低いつぶやきで、私をせき止めていたものが決壊した。

 広い胸にしがみついて、ぎゅっと目をつむる。

「どうして……」

 再会できたことが信じられないくらいうれしいのに、胸がひどく痛んだ。涙がぼろぼろ落ちてコートに染みを作っていく。