そして検索で最初にヒットしたケンブリッジ大学に、なんの疑いも持たなかった。
だから、あのときの彼はイギリスに留学中の大学生で、たまたまニューヨークに来ていただけなのだと、ずっと思いこんでいたのだ。
「なによ……それ」
体から力が抜けてその場に座り込みそうになった。「おっと」と言って、鷹野社長が私を支える。
シャツを掴み直して、私は改めて整った顔を見つめた。湿った髪から雨のしずくがしたたり落ちて、私の頬を濡らす。
前髪のせいで鋭さが軽減しているけれど、やっぱり十年前とは顔つきが違っていた。
あのとき二十歳だった彼は、社会に出て荒波にもまれることで精悍な顔立ちになっていったのかもしれない。そしてより落ち着いた雰囲気に見せるオールバックの髪型も、ニューヨークのときの印象を遠ざける要因になっていた。

