やがて大きな手がそっと頬に触れた。冷えた親指に目元を優しく拭われて、私は自分が泣いていることに気がつく。
「そんなに感激してもらえてうれしいよ」
苦笑して、社長は小さな子どもをあやすように私を柔らかく抱きしめた。ぽんぽんと背中を叩かれて、涙が余計にこぼれていく。
シャツを掴んで、私はうめいた。
「どうして……ここにいるの?」
「どうしてって、とっくに知ってるだろ? あっちで就職してしばらく働いてから、日本に戻って飛鳥商事に」
「そうじゃなくて!」
私は勢いよく彼を見上げた。ふつふつとこみ上げてくるものをぶつけるように、整った顔を睨みつける。

