「私はまだ、リーダーなんて」
社長直下に置かれる推進室のプロジェクトリーダーなんて、入社三年目の私には荷が重い。もっとふさわしい人がたくさんいるはずだと、優秀な先輩方の顔を思い浮かべていると、
「君は、考えが表情に出過ぎるな」
社長はふっと挑発的な笑い方をした。
「俺を快く思っていないだろ」
「え……」
どきりとした。
一歩下がろうとした私の腕を再びつかみ、彼は身を乗り出して顔を覗き込んでくる。
私の表情の変化を見逃すまいとするかのような、心に広がる闇の深さをミリ単位で測ろうとするような真っ黒な瞳に射抜かれて、動けない。
「この会社を立て直しに来た人間は、みんな敵。……そう思ってるんだろ」

