ソファにテレビにカウンターキッチンにスツール。必要最低限のものだけがそろったシンプルな部屋は、家具までが白かった。窓の外には美しい景色も広がっているけれど、それどころじゃない。
心臓が早鐘を打って、震えそうになる体をどうにか抑える。
まさか。という言葉が頭の中で繰り返されていた。
まさか、あの人がこんなところにいるわけがない。
十年前のニューヨークで、私が恋をした、あの人が――。
「おい、本当にどうした」
固まっている私の肩を社長が後ろから掴む。その拍子に、壁と同じ色で作りつけられた棚が目に入った。正確に言えば、そこに置かれていたものに目を引かれたのだ。

