政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 銀色の光を映した瞳にとらわれそうで、私は顔を逸らした。すると、ふいに左手を掴まれる。

「どうして、はずしたんだ?」

「……え?」

 私の左手を持ったまま、彼はじっと視線を注いでくる。

「ブレスレット――」

 そのとき、取られたままの左手に、ぽつん、となにかが当たった。手の甲に小さな水滴がはじけている。

「雨……?」

 ふたりで同時に空を見上げた途端、大きな雨粒が次々に降り注いできた。

「タクシー」

 とっさに通りを振り返った彼は、小さく舌打ちをこぼす。突然の雨で周囲の人たちも我先にとタクシーを捕まえていて、なかなか空車が通らない。

 そうこうしている間に雨脚はどんどん激しくなってきて、冷えたアスファルトの地面を濡らしていく。