「言っただろ。初めて会った瞬間から、君を忘れられないと」
「でも……」
私が鷹野社長と初めて顔を合わせたのは、社内向けに社長就任挨拶が行われた十月のはじめだ。
まだたったの二か月半前。そのときには、社長は私と飛鳥井さんの婚約を知らなかったということなのだろか。
もやもやした気持ちは、相手にぶつけたところで解決しなかった。彼がどうして私に気持ちを寄せてくれたのかなんて、結局本人にしかわからない問題かもしれない。
正面の端正な顔から自分の皿に目を落とした。考えたって仕方のないことだ。
いずれにせよ、もう、終わりなのだから。

