『私の仕事は、この会社のために――』 「この会社の、ために」 ふと強く思った。私はいったい、なんのためにここにいるのだろう。 世の中が見たい? 外の世界に飛び出したい? そんなのはすべて、自分のための話だ。 どうせ辞めるのだから、仕事なんて適当でいい? そうじゃない。そんなわけない。 辞めるからこそ、私は成し遂げたかった。 結納は、一か月後――。 それは鷹野社長の期限というだけでなくて、私が物事を自由になし得る期限でもある。