無意識に社長の方を向くと、ばちりと視線がぶつかった。じっと注がれる瞳に胸が激しく騒いで、私は慌てて顔を伏せる。
「い、いえ……すみません」
「本当にかわいいね、真珠ちゃんは」
くすくす笑いながら、飛鳥井さんはぽんと私の頭をなでた。大きな手の感触はやさしいのに、私の心と体は、やっぱりなんの反応も示さない。
「おい。用がないならとっとと出ていけ」
部屋中を凍りつかせるような声に、飛鳥商事の御曹司は苦笑した。
「はいはい、わかったよ。あ、そうだ真珠ちゃん」
外国人のような身振りで肩をすくめてボックスソファから立ち上がった彼が、私を振り返り、うれしそうに表情を緩めた。
「結納の日取り、決まったみたいだよ」

