「……なにしに来た」
鋭い眼光を放つ鷹野社長の声は、氷点下の風みたいにつめたかった。あからさまに見せる敵対心を、飛鳥井さんの方は余裕の微笑みで受け止める。
「おやじのお供で近くまで来たから、様子を見に寄ったんだよ。元気にしてるかなって」
ふわふわとほどけそうな笑みを見せる飛鳥商事の御曹司は、まるで鷹野社長の気持ちをわかっていて挑発するように私の肩を抱く。
「でも、だいぶ疲れてるみたいだね」
甘く整った顔を楽しそうに崩して飛鳥井さんが言うと、社長は無表情のまま声を低くした。
「お前が出ていけば元気になるから、いますぐ帰れ」
「えー? なんだよ、冷たいなぁ。せっかく会いに来たっていうのに」

