「そんなに警戒するなよ」 「……警戒させてるのはあなたです」 反論すると、端正な顔がふっと崩れる。 「それはそうだ」 そんな表情ひとつで私が激しく動揺しているとも知らずに、彼はすっと書類を差し出した。 「管理職研修の資料だ。広川に送ってもらったから、参考にするといい」 知人だという有名コンサルタントの名前を告げた彼は、私の業務に関する資料を取り寄せてくれたらしい。 「……ありがとうございます」 「それと」 私が書類を受け取っても、手を離そうとせず、彼は付け加えた。