前髪をすべて後ろに流しているせいでやや面長に見えるけれど、顔全体のつくりは小ぶりで二重の目は黒目がやたらと大きい。甘い顔立ちなのに、男っぽい髪型と目つきで容易には人を寄せ付けない雰囲気を放っている。
それでも彼が女性社員に騒ぎ立てられるのは必定だと思った。みどり先輩が言うところの『いい男オーラ』が、全身から滲み出ている。
私が彼から目を離せないのも、そのせいだろうか。
「俺の顔に何かついているか?」
「……いえ」
とっさに目を伏せた。鷹野社長は小さく笑った。
「桜井……いや、白鳥真珠さん。君は――」
はっとして、私は顔を上げる。

