夜中に部屋を抜け出すアン王女とカメラマンのジョーの、淡くてうつくしい、小さな真珠みたいな物語。 ふいに鷹野社長の言葉が頭をかすめた。 『逃げられないとわかっていても逃げ出そうとする気持ちが大事なんだ』 「勝手なことを、言わないで……」 左手首に留まるブレスレットを見つめながら、私は自分の運命に沈み込むように、ゆっくり目を閉じた。