「あはは!」
くしゃりと崩れる顔が急に幼くなって、私は戸惑う。
「さすがだよ真珠。俺は君のそういうところが好きなんだ」
「え……?」
「最初からあきらめていたら、なにも生まれないだろ。逃げられないとわかっていても逃げ出そうとする気持ちが大事なんだよ。結果的に連れ戻されることになっても、ね」
いたずらっぽく片目をつむると、彼は私をソファへといざなう。
「それじゃ、さっそく聞かせてもらおうか」
「え……?」
「仕事の話、するんだろ」
「あ、はい」
それから私は、各フロアを回って得た実態を報告し、管理職の意識から変えていかなければならないことを訴えた。話しながら、いつだか車の中で社長が言っていた言葉を思い出す。

