「推進室の仕事は……続けます。おかしなことを言って、申し訳ありません」
震えそうになる声をどうにかこらえて、私は漆黒の目を睨み返した。
「恋愛をしようって……結納の日まで、って言ってましたよね」
確認するように言うと、社長は小さくうなずいた。
「……ああ」
「それなら、私はあなたにあらがいます」
「……え?」
「結納の日が来たら、あなたは私から離れていくのでしょう? そんなふうに最初から別れを見越した関係なんて、私はまっぴらなんです。だから、あなたからどんなに誘われても、私はあなたを好きにはなりません」
きっぱり言い切ると、鷹野社長は一瞬驚いた顔をしてから、いきなり表情を崩した。

