そうするべきだと頭では納得できるのに、心はなぜかねじれるように痛む。
震えそうになる足をどうにかこらえて立っていると、静かな声が聞こえた。
「……逃げるのか?」
ドクッと鼓動がした。
振り返ると、鷹野社長がまっすぐに私を見ている。
「中途半端に投げ出して逃げるつもりか? 仕事からも、自分の気持ちからも」
「え……」
社長がすっと立ち上がる。じりじりと、私を追い詰める。
「WLBの推進業務は、お前の仕事だ。それと」
社長の手が私に向かって伸ばされる。私の左手をとると、包み込むように優しくなでた。
「お前がどう思っているかは知らないが、まあ、なんとなく想像はつくが……俺は真珠以外と恋愛する気はない」

