ほっと胸をなでおろす私のとなりに、薄ピンク色の頭をした波瑠がそろりと並び立った。アレクのリードを手に持ったまま、通りの向こうに注いでいた目を私に移す。
「今の……好きな人?」
アレクの散歩をしていた波瑠は、車が停まったときからここにいて、一部始終を見ていたらしい。
「ち、ちがう」
頬に触れた感触がよみがえり、あわてて否定すると、人形のように整った顔が無感情のままつぶやいた。
「それじゃ、向こうが真珠を好きなのか」
「そうなられたら困るから、断ってるの」
「そう。でも、今さっきのじゃ、逆効果だと思うよ」
アレクを引き連れて、波瑠はジーンズの足を踏み出す。横目で私を見ると、客観的事実を述べるように、淡々と口にした。

